カスタムオーダーとは？世界に1つのオリジナル商品を販売

カスタムオーダーとは、商品のカスタムやオーダーメイドと関係があり、自分好みに仕様を変更して注文できる商品もしくはそのような販売方法を指します。

販売者にとっては、世界に1つのオリジナル商品を購入できるようにすれば、既製品や大量生産品にはない新たな商品価値を提供することに繋がります。注文者にとっては、自分の趣向に合った特別な商品を入手することで、価格以上の価値を感じられるようになります。

そんなカスタムオーダーの、事例・動向・課題について紹介します。

カスタムオーダーの事例

NIKEiD（ナイキID）

NIKEiDはスポーツウェアブランドのナイキが提供するオンラインのカスタムオーダーサービスです。このサービスでは、消費者がスニーカーのデザイン、色、素材などを自由に選択し、自分だけのオリジナルのスニーカーを作成できます。消費者はデザインの選択から最終製品の視覚化まで、全てのプロセスをWebサイト上で行うことができ、これにより、消費者は商品購入そのものだけでなく、デザインのプロセスを楽しむことができます。

ミニ（MINI）

自動車メーカーのMINIは、自動車のカスタムオーダーサービスを提供しています。消費者はエクステリアの色から内装、オプション装備まで、車の仕様を自由に選択できます。これにより、消費者は自分だけのオリジナルの車を所有することができます。MINIはまた、オンラインの設定ツールも提供しており、消費者は自分の家から車の設定を楽しむことができます。

FABRIC TOKYO：紳士服

2019年前後から採寸サービスを含む実店舗への展開も目立つ、日本のカスタムオーダーEC界を牽引するサービス。

この商品では11パーツについてそれぞれ10パターン程度のカスタムが可能。裏地からボタンまで、これまで実店舗で時間をかけてしていたオーダーメイドをWeb上で、店員に気兼ねすることなく実施できます。パターンの選択による価格変動に対応しているため、実店舗ではできなかった価格帯の逸品を、納得いく形で入手することができます。

以上の事例は、カスタムオーダーが消費者の多様なニーズに対応し、ブランドの一貫性を維持しながらも、消費者体験を高める手段として、多くの業界で有効に活用されていることを示しています。

カスタムオーダーの動向

カスタムオーダーは、消費者の求める個別性と独自性の高まりを背景に、今後も増加する傾向にあると予想されます。以下にその具体的な動向をいくつか示します。

テクノロジーの進化

デジタルテクノロジーの進化により、カスタムオーダーはさらなる発展を遂げると想定されます。3Dプリンティング、AI、AR/VRなどの技術の進歩により、より詳細なカスタマイズやリアルタイムでの視覚化が可能になり、消費者体験の向上が期待できます。

サステナビリティへの配慮

持続可能な消費が求められる現代社会において、大量生産・大量消費のモデルに対する批判が高まっています。カスタムオーダーはその代替としての役割を果たす可能性があります。消費者が必要なものだけを必要な時に生産・購入するという、このモデルは無駄を減らし、サステナビリティを実現する手段となり得ます。

データ活用の拡大

カスタムオーダーによって得られる消費者の個々の好みや行動のデータは、企業にとって価値ある情報源となります。これらのデータを分析し活用することで、企業は更なる製品の改善や新たなビジネスチャンスを見つけることが可能となります。

新たなビジネスモデルの登場

カスタムオーダーは、個々の消費者ニーズに対応するだけでなく、新たなビジネスモデルの創出にも繋がります。例えば、消費者自身がデザインを作成し、それを他の消費者と共有するプラットフォームは、消費者と企業の新たな関係性を生み出す可能性があります。

以上のように、カスタムオーダーは、消費者の求める個別性と独自性、そして社会の持続可能性への要求などに応えるために、ますます重要な販売手法となるでしょう。

課題1：個々の顧客ニーズへの対応

カスタムオーダーは、消費者の個々のニーズに合わせて製品を製造するための方法です。標準化された商品が顧客の多様な要求を満たすことは難しく、この点でカスタムオーダーは一見理想的な解決策と思われます。しかしこのアプローチには課題が存在します。製造プロセスを柔軟に管理するための高度な技術とスキルが必要であり、また大量生産に比べてコストが高くなる可能性があるからです。

解決策：効率的な生産管理とデジタル技術の活用

この課題に対する解決策は二つあります。まず一つは、生産ラインの管理を最適化することです。効率的な生産管理システムを導入し、在庫や生産スケジュールをリアルタイムで管理することで、個々の顧客ニーズに対応しながらも適切なコストとリードタイムを維持することが可能です。

もう一つの解決策は、デジタル技術を利用して製品設計や生産プロセスを効率化することです。例えば、3Dプリンティング技術を用いれば、顧客の個々の要求に基づいた製品を迅速に製造することが可能となります。また、AR（拡張現実）やVR（仮想現実）技術を用いて、顧客自身が商品を設計する体験を提供することも可能です。

課題2：顧客体験の向上

カスタムオーダーは、商品自体の購入だけでなく、商品を作るプロセスそのものを楽しむことができる消費者体験を提供します。しかし、これには複雑な選択肢と情報過多が伴う可能性があり、消費者が混乱することがあります。この問題を解決しなければ、消費者体験は悪化し、最終的にはカスタムオーダーそのものの価値を損なう可能性があります。

解決策：直感的なユーザーインターフェースとカスタマーサポート

この課題に対する解決策は、直感的なユーザーインターフェースを提供することです。消費者が製品の設定を簡単に選択し、その結果をリアルタイムで視覚化できるユーザーインターフェースを設計することで、消費者の混乱を減らすことが可能です。また、消費者が選択肢に困ったときに対応できるように、十分なカスタマーサポートも必要となります。

課題3：ブランドの価値の維持

カスタムオーダーは、個々の顧客のニーズに合わせた製品を提供することで、消費者との強い結びつきを築くことができます。しかし、同時に、ブランドの一貫性と価値を保つことが課題となります。製品が顧客によって大きく変化すると、ブランドのイメージが希薄化する可能性があります。

解決策：ブランドのガイドラインの設定と一貫性の保持

この課題を解決するためには、ブランドのガイドラインを設定し、それを一貫して適用することが重要です。製品設定の選択肢は、ブランドの価値やイメージを補強するものに限定すべきです。これにより、消費者がオリジナルの製品を作り出す自由を享受しながらも、ブランドの一貫性と価値を保つことが可能となります。

まとめ

カスタムオーダーは、消費者の多様なニーズに対応する強力な販売手法であり、同時に消費者体験の新たな次元を提供します。しかしこの手法を成功させるためには、生産管理の効率化、消費者体験の最適化、そしてブランドの一貫性の保持など、さまざまな課題に対応する必要があります。これらの課題に対する解決策を適切に実装し、継続的に評価と改善を行うことで、カスタムオーダーは消費者にとっても企業にとっても大きな価値をもたらすことでしょう。